この記事は
エフェクトの一種であるエキサイター(エンハンサー)の原理とか実際どうすればいいのかとかのメモです。
なにがあった
実は今までエキサイター使ったことなかったんです(注:最高速FallInLove以前)。完全に存在を忘れていたでござるよ…。
考えてみれば自分の曲はドンシャリのシャリ成分がイマイチだし、これは手を出し見る価値ありそう! でもこれ(を実際どうすればいいのか)もうわかんねぇなぁ? ってことでお勉強しよう! というのが動機です。
そもそもエキサイターとは
- 音をきらびやかにエキサイトさせるエフェクトです(暗い音が光り輝いちゃうとかなんとか?)
- 原理的にはEQのような単純なブーストではなくてもうすこし難しいことをしているようです
- 各チャンネルの音作りはもちろん、マスタリングにも使用されるようです
エキサイター一族
エキサイターって言ってもいろいろ呼び方や原理のバリエーションが存在するようです。
- エキサイター
- エンハンサー(別名)
- 八一フ・クリッピング・エキサイター(原理その1)
- ハーモニックエキサイター(別名)
- オーラルエキサイター(別名)
- フェイズ・シフト・エキサイター(原理その2)
- フェイズエキサイター(別名)
エンハンサーはエキサイターよりも広い意味合いを持つらしいのでただの別の呼び方というわけでもないようです。
原理:ハーモニックエキサイター
原理はとっても簡単で
- dryにHigh Pass Filter(HPF)を掛けてから歪ませる(wet)
- wetとdryを好きな比率でミックスする
たったのこれだけ。
HPFのセッティングは
- Slope : 12[dB/Oct]
- Freq. 680-7000[Hz]
が例示されています。
個人的にはもっとキツイスロープで2.8[kHz]くらいでカットするといい塩梅な気がするのですがどうでしょう?
歪みプラグインは片側の極性だけを歪ませるハーフクリッパーを使うらしいですが、歪みプラグインならなんでもいいなじゃないですかね?
原理:フェイズエキサイター
こっちはむずかしい。正直良くわからないまである。
原音の位相を遅らせてミックスするというのが基本的な考え方。遅らせる量は90[deg]と180[deg]でそれぞれ2次倍音と2オクターブ上(4次倍音?)をキャンセルすることに相当する。180[deg]というと逆相のことなのだが、実際には音が遅れているので完全なキャンセリングはされない。
こちらもやはりHPFによる低音のカットが行われる。具体的なすうじとしては12[dB/Oct]5.0[kHz]が例示されている。これは人間の聴覚的に2.5[kHz]から上は位相の変化による遅延に対して鈍感らしいので2.5[kHz]で-12[dB]になるようにセッティングしてるのだろうか?
で、フェイズシフターとHPFのつなぎ方なのだが、若干ややこしい。
- A:dryを入力として90[deg]遅らせてHPF
- B:Aを入力として180[deg]遅らせる(フェイズインバーター)
- AとBとdryをミックス
Aのフェイザーとフィルタの順序を入れ替えると結果が変わるみたいなので注意。
フリーのvstを触ってみる
フリーのvstでも触って感触を確かめてみましょう。
今回はmodern exciter(Welcome to Antress Modern Plugins)を触ってみます。
原理で説明したとおり、加工した音をミックスする関係で、HIGHを回すと高温域が持ち上がるので、後段にEQを挿して持ち上がった分をロールオフすると良いっぽい。ロールオフしても、エキサイトな倍音が付加されてるので目立つ。
次はLa Petite Exciter(Fine Cut Bodies | Sound Design)です。
その他、ホワイトノイズをMixできたり、wet量をダッキングできたりとなかなか可能性を感じます。でも、ダッキングってどう使えば良いんでしょうね?