この記事は
Mid成分しか無い音から無理やりSide成分を作り出す方法についてのメモです。
MidとかSideとか何言ってんだこいつって人はMS処理にいてググってお勉強しましょう。
めちゃくちゃ乱暴な方法
左右で位相を反転させます。設定としてはこんな感じ。
原理としては
- 左右で互いに打ち消し合う波形が出力される
- なのでモノラルにミックスダウンすると音が消える
- つまり、ミッド成分が無くなるということ
- でも音が聞こえるということは残りは全部サイド成分!
といった所。めちゃくちゃ単純。
ただ、このやり方には難点があって、聴感上非常に気持ち悪い。
特に高音から低音まで全部まるごと左右で逆相の音が聞こえてくると非常に気持ち悪い。
ケーブルの接続を間違って左右逆相で録音された曲のアレです。
ただ人間の耳は2.5kHz以上は位相差に対して鈍感らしいので、高音が中心となるような音ならそんなに問題にならないかもね?
ディレイとフェイズシフターを併用する方法
"Fruity Stereo Enhancer"の右側にある"DELAY"と"PHASE"を使います。セッティングはこんな感じ。
まず"DELAY"と"PHASE"ですが、これは片方だけのチャンネルを「遅らせる」という効果があります。例えば、LEFT側は原音がそのまま出てくるけどRIGHT側は音が遅れて出てくるとか、そんな感じです。
"DELAY"は時間を遅らせて"PHASE"は位相を遅らせるという違いがあるので、同じだけノブをひねっても出てくる音は違います。
とは言っても、遅れる時間量はどちらもかなり短い(ミリ秒とかマイクロ秒の世界)なので、特にWET音だけを聞いた時の効果の具合は割りと似たり寄ったりです。
で、この似てるけどちょっと違う2つのエフェクトを左右それぞれに掛けてしまおうというのが上で紹介した方法です。
上のセッティングだとLEFT側は15[msec]のディレイ、RIGHT側は90[deg]のフェイズシフト、です(多分)。
聴感上は左右位相反転よりはよほどマシな結果だと思います。マシですよね?
ディレイかフェイズシフトどちらかだけをかけてもステレオエンハンシグ効果は得られるのですが、両方使ったほうが「左右でタイミングがズレてます感」は薄れるかなぁと。
ただしミッドにも成分は残るので、ミッドしかなくても使えるステレオエンハンシングくらいの感じだとおもっておくといいんじゃないですかね?
あと、若干ですが遅れが発生するので、アタックの鋭い音色に適用するとリズム感が崩れる原因になるかもしれません。
具体例
(最高速 Fall in Love(J-CORE Remix) - ぬうぱんの備忘録)のピアノに使いました。
音源はM1ピアノで、オシレーターはモノラルなのですが、M1のエフェクトセクションでリバーブがかかっていて若干ステレオ感が付与されています。その上で今回紹介したディレイ+フェイズシフト法を適用しています。