なにがあった
FL studio signature bundleの魅力の一つでもあるmaximusは本当に最高なんですが、マルチバンドという特性上、いろいろ設定をいじらないと「入ってきた音がそのまま出てこない」という問題があります。で、入ってきた音がそのまま出てくるようにするセッティングを思い出せなくていじいじしてたのでそのメモ
そもそもmaximusって?
maximusはマルチバンドのブリックウォールリミッターで、2-MIXにしたあとのマキシマイズからシングルチャンネルのゲインコントロールまで、本当になんでもできちゃうプラグインです。
特に表示類が素晴らしく、耳でのコントロールの難しい80Hz以下の低音でも視覚的にコントロールできてしまいます。
本当に素晴らしくてシングルチャンネル全てにブスブス挿してしまうのですが、そもそもマルチバンドとして作られているので、フルバンドのリミッターとして使おうとするといろいろ問題があります。
肝心の問題とは
まず、シングルバンドのリミッターとして使う場合、デジタルのプラグインなんですから次のことを普通は想定するかと思います
- リミッティングが一切かかっていない状態で
- 入力と出力を逆位相にしてぶつけたら
- 完全な無音になるはず
ところが、デフォルトセッティングではそうはならないんですよね。
原因は
といったあたりで、ココらへんを解消すれば"入力=出力"となるわけです。
で、具体的にはどうするのか
原因については後回しにして、じゃーどーするのよという話を先に。
何はともあれ、"入力=出力"となる状況を作るためには
- フィルタを線形位相フィルタに変更
- ウルトラロー除去用のフィルタを外す
- 全バンドのモードをoffにする
- 左側四角がモード。これを全バンド"off"にする。
- 円内の▶をクリックするとメニューが出てくるので"Linear-phase filters"にチェックを入れる
- 右側四角内がウルトラロー除去用のフィルタ。これも左側いっぱいにひねってoffにする。
この状態で、ミキサーのルーティングいじって入出力を逆位相でぶつけるようにして、Ctrl+Pでプラグインディレイ補正すれば、完全な無音になっていると思います。
当然ですが、この状態だと全バンドoffなのでリミってィングもクソもありません。なので、この状態を初期状態として目的に応じてセッティングを変えてきましょう。
原因について
一個目の分離用フィルタで云々は"フィルタをかけると位相が回る"というのがミソです。おそらく「分離して戻したら振幅が元通りになるフィルタ」をデフォルトでは使っているのだと思いますが、それでも位相は回ってしまうので「分離して戻したら波形が同じになる」わけではありません。
これは2個めのウルトラローカット用フィルタも関係していて、こちらも普通のフィルタなのでカットオフ周波数である20Hz付近でなくても位相がぐるんぐるんと。ま、位相がなんとかって言う前に原音からカットしてるんですからそりゃ等価にはなりませんよね。
その点、線形位相フィルタは「分離して戻したら波形が同じになる」が実現されています。
で、3つめの理由。これは浮動小数点がなんとかこんとかという話になってくると思うんですが、あんまり自信ないです。そもそもFL studioは波形を32bit float(単精度浮動小数点)で扱っており、それはmaximusも同様かと思います。で、この浮動小数点というやつ、割りと難儀で"2つの値を比較して完全に等価"になることが稀です。直感的には一致するだろうと思えるような計算を行なっても完全に一致はしなかったりします。一致するとしたら、それはバイト列をコピーして比較したのでしょう。そして、maximusでは各バンドで入出力のマッピングを行なっています。つまり浮動小数点の値に対する演算を行なっています。そりゃぁ一致しませんよね。微妙な誤差が残ったって不思議じゃない。まぁもっとも音を聞いている限り、この誤差のレベルでは無い気がするんですが・・・。
補足的な
maximusにはオーバーサンプリングもあるのですが、音が良くなるかどうかは状況によるみたいですね。
その他基本的な使い方は英語マニュアルとwikiにある日本語訳を見ましょう。日本語訳の方は若干バージョンが古いことがあるので、必ず原文と比較しながら読みましょう。
あと、フルバンドのリミッター欲しかったらFruity Limitter使えよと思うかもしれませんが、あっちはカーブ書けないのでパスで。
感想
maximusちゃんマジmaximus